SMRIについて

img

スマートニュース メディア研究所は、ニュースやメディアが本当に社会や人々の役にたつためにはどうあるべきかを考えるシンクタンクです。中長期的な視点からの研究、提言、そして課題解決の実現を目指して、2018年8月に設立しました。

『スマートニュース メディア研究所』について

ソーシャルメディアやスマートフォンの普及により、メディアに触れる機会は圧倒的に増加しました。しかし、その情報摂取が、本当に社会や人々のためになっているのか、疑念の声が世界中であがっています。フェイクニュースやフィルターバブルと政治的分極化、スマートフォン中毒、調査報道を含む良質なメディアの採算性の問題など、デジタル社会の到来によって良質な人生がかえって損なわれているのではないかという疑問がでるのは当然だといえます。

「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」というミッションをもつスマートニュースは、こうした課題の解決に積極的に取り組みます。

『スマートニュース メディア研究所』では、トップレベルの研究者や有識者の知見を集め、「ニュースやメディアが本当に社会や人々のためになっているか」「ニュースやメディアが社会や人々のためになるとしたら、どのような形が理想なのか」をメインテーマに研究・提言を行います。
同時に課題解決のための活動にも取り組みます。その柱のひとつとして、学校現場でのメディアリテラシー教育にも携わり、子供たちが主体的に考える力を養うことを支援していきたいと考えています

スマートニュースは、全体の10%の時間を公共性領域に特化して割り当てるという「10%ルール」をもっており、本研究所の設立と運営も、この10%ルールに基づいて行われます。
スマートニュースでは、コア・バリューの一つとして“For the Common Good”「公共に資する価値を作ろう。コンテンツエコシステムや、世の中全体を良くするために、直接的な貢献をしよう。」を掲げています。「10%ルール」はこのコア・バリューから生まれたものです。

スマートニュースのウェブサイトはこちら

The widespread use of social media and smartphones has overwhelmingly increased the time we spend interacting with the media. However, people across the world are expressing concern on whether such consumption of information is really in the interest of society and people. In fact, it is natural for doubts to arise about the advent of digital society, as it seems to be hampering quality life with issues such as fake news, filter bubbles and political polarization, smartphone addiction, and difficulties in keeping high-quality media, including investigative journalism, profitable.

SmartNews is working proactively to resolve such issues under its mission of "delivering the world's quality information to the people who need it."

SmartNews Media Research Institute brings together knowledge from researchers and experts from within and outside SmartNews to conduct research and make recommendations mainly on topics such as whether news and the media are really benefiting people and society, and what should be the ideal form of news and the media if they are to benefit people and society.

The institute also conducts activities to resolve the issues surrounding the media. One of our leading projects in this direction is to engage in media literacy education in schools and lend our support in fostering in children the ability to think independently.

SmartNews follows a 10% Rule of specifically allocating 10% of its time to work in the public domain. One of our core values at SmartNews is “For the Common Good,” which encourages us to make a direct contribution to building a better world and helping the content ecosystem thrive, and the 10% Rule originated from this core value.

SmartNews Media Research Institute was established and is being operated based on this rule.

山脇 岳志  所長

メディアと社会のより良い関係の探究

メディア論の先駆者といわれるマーシャル・マクルーハン(1911-80)は、「メディアはマッサージである」という言葉を残しています。

マクルーハン自身の箴言である「メディアはメッセージである」をもじった「遊び心」が感じられます。

マクルーハンによれば、メディアは「人間の身体や精神の拡張」です。
彼は、テレビ、ラジオ、新聞といったマスメディアだけでなく、鉄道にせよ電気の光にせよ、コンピューター、言語といったものにせよ人間が手を加えたものはメディアだととらえました。メディアが伝える「内容」というより「メディアそのものがメッセージ」であり、人々の思考や行動を変えると喝破しました。

さらに、人々をもみほぐし、変化させていくという意味での「マッサージ」性も指摘しました。「メディアがもたらす帰結は、個人的にも政治的にも経済的にも美的にも心理的にも道徳的にも倫理的にも社会的にもすみずみまで浸透するので、われわれのあらゆる部分が例外なしにメディアによって接触され、影響と変更を被ってしまう」(『メディアはマッサージである:影響の目録』)と記しています。

マクルーハンの没後、世界中のネットワークがつながるインターネットや、スマートフォンという便利なツールが登場しました。いつでもどこでも、片手でスマホを操作するだけで、膨大な情報に触れられます。この新しい環境は、新聞やテレビというメディアを大きく上回るインパクトを、人間社会に与えています。

誰でも発信でき、草の根からグローバルな民主主義が広がっていくーーインターネット初期には、そんなバラ色の夢も語られました。しかし、近年は、インターネットがフェイクニュースやデマ、陰謀論の温床となり、社会の分断を広げるといった「負の面」が注目されています。
それでも、我々の生活が「ネット以前」に戻ることはないでしょう。インターネットやスマホは、もはや逆戻りできない、圧倒的な魅力と利便性を兼ね備えています。

スマートニュース メディア研究所は、世論調査などのプロジェクトを通じて、激動期を迎えているメディアと社会のかかわりを調査・分析します。
また、そうした研究やメディアリテラシー教育の普及活動などを通じ、よりよい民主主義社会に貢献できる方法を探り、提言していきたいと考えています。

スマートニュース代表取締役会長 鈴木健

垣根を超えた研究で、ポジティブな役割果たしたい

スマートニュースCEO 鈴木健

インターネットの発展によって、私たちの生活は劇的に便利になりました。他方で、インターネットがフェイクニュースの温床になり、社会的分断を広げているとの懸念も深まっています。

「世界中の良質な情報を、必要な人に届ける」。2012年、私たちはそんなMissionを掲げて、スマートニュースを創業しました。利用者数を伸ばしている米国では、保守の人にもリベラルな人にも、バランス良くニュースが届く仕組みを入れるなど、分断の改善に向けて、努力を重ねています。

モバイル化/AIの波に続き、5G/AR/VR/BMIなどの新たなテクノロジーが加速するなかで、テクノロジーが社会に対してポジティブな役割を果たすために何ができるのか、より長期的な視点から考えていきたい。スマートニュースメディア研究所を設立したのは、そうした思いからです。そのために、他の組織や研究者との協同を通して(cross-organizational)、科学、工学、人文社会科学の垣根を超えた(transdisciplinary)、大胆なテーマのプロジェクト(moonshot project)を進めて参りたいと思います。