SMPP調査レポート② 浸透するSNS〜ネット利用者約8割がアカウント所持。一方で、全体の半数の人がSNS経由のニュースを「重要でない」と判断

2024.06.04
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2023年3月、第1回スマートニュース・メディア価値観全国調査(SMPP調査)が実施されました。今後10年にわたって、2年ごとに、日本人の政治、社会に対する意識や価値観、メディア接触との関係などを調査していきます。スマートニュース メディア研究所では、研究所のウェブサイトで随時、調査によって明らかになった点を項目ごとにリポート形式で報告していきます。

今回は、SNSの利用状況や、SNSを通したメディア接触を中心に分析しました。(スマートニュース メディア研究所)

主要なFindings
・ふだんからネットを見る人の中で、全世代の79%がSNSアカウントを1つは所持している
・全体の45%がアカウントを複数所持、25%が「本名」「匿名」アカウントを両方持って使い分けをしている
・SNSで、人を介して接するニュース(友達がシェアしているものなど)について、約5割の人が「重要ではない」と考えている

ネット利用者の約8割が利用するSNS、若年層はアカウント複数所持して「使い分け」をする傾向

今や、私たちの生活に欠かせない「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」。ソーシャルネットワークをインターネット上に構築するサービスであるSNSの用途は広い。家族や知人・友人との連絡手段であり、知らなかった人とつながることもできる。手軽に関心のある情報を得たり、様々なエンターテインメントに触れたりすることもできる。

SNSの始まりは90年代後半だとされている。2004年にはFacebook、2006年にはTwitter(現在はX)のサービスが開始され、今や世界で「知らない人はいない」サービスへと成長した。ほかに、LINE、Instagram、YouTube、TikTokなども、よく使われているSNSである。

日本における「ソーシャルメディア」利用者数は、2022年時点で1億200万人とされている(令和5年度版・総務省情報通信白書)。なお、SNSはソーシャルメディアに含まれる。ソーシャルメディアは、SNSのほかに、口コミサイト、掲示板サービスなども含むより広い概念で、海外では、SNSよりもソーシャルメディアという言い方が一般的である。

では、その利用者たちは、どのようにSNSと接し、そこで触れる情報について、どう感じているのだろうか。

SMPP調査では、「インターネットを介してよく見るメディア」がある人を対象として、SNSのアカウント有無を尋ねた。年代別に分析したところ、「SNSのアカウントを持っている」と答えた人は、18〜29歳の層が最も多く96%、60代の層でも約7割に達していた。70代以上以外の全ての年代で、「SNSのアカウントを持っている」が「SNSのアカウントは1つも持っていない」人を大幅に上回った。
全体では、79%がアカウントを所持していた。(図1)

 

図1

 

さらに、使用しているSNSの「アカウント数」について、複数アカウントを所持している人の割合は、18~29歳が66%と突出して多かった。30代、40代、50代までは「複数アカウント」を持っている人の割合が、アカウント1つの人の割合よりも多かった。(図2)

 

図2

 

では、アカウント利用の際の「名前」についてはどうだろうか。(図3)

「本名のみ」での利用が一番多いのが60代だった(37%)。一方で、「匿名のみ」での利用が多かったのが、30代と50代で、それぞれ約3割程度だった。「SNSのアカウントは複数持っており、本名と匿名を使い分けている」という回答は、18〜29歳が最も多く(43%)、年代が上がるにつれて割合が下がっていた。

 

図3

 

SNS経由ニュース、「人からのシェア」よりも「Twitterトレンド」が重要視される傾向

SNSの特徴は、ユーザー同士でつながり、情報を送り合うことができることだ。
では、SNSを使って接触するニュースの重要性について、人々はどう考えているのだろうか。

「SNSで友達がシェアしているニュース」「たくさんのフォロワーがいる有名人がSNS等でシェアするニュース」「Twitterのトレンドに載るニュース」、それぞれについて、”どの程度重要だと考えていますか”について聞いた。

「友達」もしくは「たくさんのフォロワーがいる有名人」がシェアするニュースについて、重要と考える人の割合はどちらも低く、全体で1割程度だった。一方で、「Twitterのトレンドに載るニュース」の重要度は全体で2割まで上がっている。

「SNSで友達がシェアしているニュース」について「重要」と感じている人は、最も多かった18〜20代でも26%、30代で20%、40代・50代で10%台、60代・70代以上では6%だった。(図4)

「たくさんのフォロワーがいる有名人がSNS等でシェアするニュース」ついては、18〜29歳が25%だがそれ以外の世代では低くなり、30代では12%、40代以上ではそれぞれ10%を下回った。(図5)

一方で、「Twitterのトレンドに載るニュース」については、「重要である」と答える人の割合が18〜29歳で43%、30代で31%、60代、70歳以上でも9%と、どの世代においても他の「SNSを介して伝わる情報」に比べて高くなる傾向が見られた。(図6)

それぞれの情報について「重要でない」と考える人の割合はいずれも高く、全体の5割の人が「SNSで友達がシェアしているニュース」「たくさんのフォロワーがいる有名人がSNS等でシェアするニュース」を「重要でない」と答えた。

 

図4

 

図5

 

図6

 

SMPP調査・第1回概要

SMPP調査・第1回調査概要

調査時期 2023年3月
実施方式 18歳-79歳の有権者を対象に、郵送とオンライン(Web調査)の2方式で実施
郵送調査 日本国内に居住する18歳から79歳の男女を調査対象とし、日本リサーチセンターが管理するトラストパネルの登録者から、2020年国勢調査の人口を基準として、地域・性別・年代による層化抽出を実施。初期標本の4460に対して回収数は1901(回収率は42.6%)。3月1日に調査票の入った封筒を発送、3月22日迄に到着した回答を有効とした
Web調査 楽天インサイトが管理する生活意識データパネル登録者に対して調査を実施。配信地域は日本全国、標本規模は2000。なお、性別・年齢(18-19歳/20代/30代/40代/50代/60代/70代)に基づく割り付けを行っており、男女別に18-19歳は34、それ以外は年代毎に161を回収数として設定した。調査への参加を求める電子メールは3月9日に配信され、3月11日までに予定された数の回収が行われた(回収数2000、回収率100%)

*本レポートでは、郵送調査結果を分析に用いた