メディア各社とアカデミアが協力する形で、デジタル時代に対応したニュースリテラシーについての情報の共有や研究を行うことを目的として発足しました。虚偽情報やデマへの対処にとまどう教育界からのニーズに応える手法などを探っていきます。
インターネットには、玉石混淆の膨大な情報が流れています。虚偽情報やデマ、陰謀論も大きな影響力を持つようになり、社会の分断につながっているともいわれています。2020年のアメリカ大統領選に不正があったと信じるグループによる米議会襲撃事件は、世界に衝撃を与えました。
2022年にはロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まり、ソーシャルメディアがプロパガンダを拡散する武器としても使われています。ウクライナ国民に降伏を呼びかけるディープフェイクの動画が投稿されたことも、大きな話題となりました。
虚偽情報や陰謀論への対処について、マスメディアやプラットフォーマーが果たせる役割は大きいですが、それだけで十分ではなく、情報の受け手の一人一人がメディアリテラシー、ニュースリテラシーを身につける必要性も指摘されています。だれもがソーシャルメディアで発信できる時代でもあり、発信者と受信者との区別も、もはや明確ではありません。
一方、教育界からは、ネットにあふれかえる虚偽情報にどう対応すればよいのか、子供たちに何をどう教えたらよいのかわからないと戸惑う声がよく聞かれます。メディア関係者やアカデミアと学校現場の連携の必要性も高まっているように見えます。
アメリカでは、ジャーナリストが立ち上げたNPO・News Literacy Projectなどが、メディアの垣根を超えて、ニュースリテラシーについての教材を作り、学校教育に貢献しています。
日本でも、個別のメディア企業が取り組みを行っていますが、デジタル時代に対応した形でのニュースリテラシー、メディアリテラシーについてのメディア間の情報共有は行われていませんでした。まずはそれぞれ取り組みの知見を共有して学び合い、学校教育でメディアが果たせる役割についても考えていく研究会を発足させました。
発起人(五十音順):
法政大学 キャリアデザイン学部 キャリアデザイン学科 教授 坂本旬
スマートニュース メディア研究所所長 山脇岳志
メンバー:
新聞・テレビ各社、オンラインメディア、学界、シンクタンクの有志